
こんにちは。武蔵小杉、たまプラーザ、二子玉川からほど近い溝の口テラス法律事務所の代表弁護士、小川です。
熟年離婚事件に携わっていると、ご夫婦の明らかな認識の違いを感じることがあります。
ご夫婦で、離婚する必要があるかどうかの認識が全く違うことがあるのです。
端的にいうと、奥様は「不和ばかりだった」、「なぜ婚姻を継続しているのか分からない」と仰せになり、旦那さんは「何も不和などない」、「問題なく生活できていた」、「離婚などする意味が分からない」と、まったく言うことが正反対のご夫婦が多くいらっしゃるのです。
今日はこのご夫婦の認識の相違についてお話ししたいと思います。
分かり合えないご夫婦


まず、そもそもなぜご夫婦でわかり合えないのか。いくつかの要因がありますので、それぞれ掘り下げていきましょう。
元々違うご夫婦の認識
まず、婚姻期間の長短にかかわらず離婚事件では、奥様が離婚を主張されている時に、旦那様が「まだやり直せるはず」と主張されることが多いです。
しかしこのような場合でも、奥様の気持ちはとっくの昔に離れてしまっているということがほとんどです。



これは、統計などを取ったわけではありませんが、3桁の離婚事件を解決してきた弁護士の実感です。
熟年離婚だとさらに顕著
熟年離婚ですと、この傾向は更に顕著になります。
奥様は、「数年も家庭内別居をし、家屋内で遭遇しないよう、台所やお風呂の利用に至るまで阿吽の呼吸で時間が合わないようにして、もう何年も顔を見ていない。声も聞きたくない。何としても離婚したい」と本気で仰せになります。
しかし旦那さんは、こう言うのです。
「いや、妻とは上手くやれていた。いつからか妻が自分を避けるようになったことは気づいていたが、その後も大きな喧嘩はせず、自分は妻に気を使って、問題なく生活できている」
これを奥様にお伝えすると、奥様は「この期に及んでそんな嘘を言って!」と言われます。
しかし、協議離婚の交渉において実際に旦那さんと話し合いをした弁護士や、調停において丁寧に旦那さんの話を聞いてくださった調停委員の方々も、旦那さんは嘘を言っていないと感じているのです。
ご夫婦でお互いの関係について認識が違う原因
では、このような認識の差はなぜ生まれるのでしょうか。
あくまで、私の推測にはなりますが、解説していきます。
男女の認識能力のちがい


女性脳と男性脳などという呼び方が、一時期流行ったと記憶しています。
女性は細かに人の心を洞察できるが、男性はできない。
過度に一般化はできないにせよ、鈍感な男性に怒る女性の絵は、こんな呼び方ができるずっと前からドラマや漫画のテンプレだった記憶がありますし、現実にもそのような傾向があるように思います。



鈍感な旦那さんの行動に奥様が嫌気をさし溝が深まっていき、それでも鈍感な旦那さんは気づかず、ここまで来てしまったということは多くありそうです。
会話がないことのストレスの違い
上記の男性脳、女性脳の書籍に、女性は会話を友好の証とし、男性は静けさに安息を感じると記載がありました。
そうであれば、会話がない、接触がないということに奥様は夫婦の不和を感じる一方で、旦那さんはそれほどストレスを感じていないのかもしれません。
奥様が我慢してきたことが多かったから
これは、モラハラ離婚事件が多い弊所ならではの傾向かも分かりませんが、モラハラ夫から日々モラハラを受け続け耐えかねて離婚を決意したという奥様のご相談をよくお受けします。
そのような場合、当然モラハラ夫は、自分にストレスなどかかっていないのだから、やり直せると思う者もいるのかもしれません。
「俺変わるよ努力するよ、だから戻ってきてくれよ」
何度も聞いたモラハラ夫の言葉です。
これを伝え聞いた奥様のお気持ちなど説明するまでもないでしょう。
旦那さんは本気で言っている


これらの原因は、私の推測に過ぎませんし、その原因が何であろうが既に離婚を決意されている奥様には何の関係もないことでしょう。
奥様の中には、「自分の相続した遺産狙いでは」とか、「一回連れ戻して仕返しをする気じゃないか」とか勘繰ってしまわれる方もおられますが、多くの事例では旦那さんに他意はなく、本当に離婚に納得がいっていないのです。
分かり合えない旦那さんとの熟年離婚での戦い方
これだけ認識が違い、分かり合えない旦那さんと、熟年離婚ではどうやってたたかっていけばいいのでしょうか。
大きく分けて、お一人で戦う場合と、人にも頼って戦う場合があります。
1人だけでたたかう場合


お一人でたたかう場合はまず
- ハッキリとあなたの意思を伝える
- 法的な考え方を十分に勉強する
- 粘り強く交渉する
この3つをお一人でこなさなければなりません。
ハッキリとあなたの意思を伝える
まず、あなたの気持ちをきちんと伝えましょう。旦那さんとあなたの認識は全く違います。
またこれだけ認識が違うのだからハッキリ言わないと分かりません。
あなたが旦那さんと離婚したいこと、もう婚姻を継続する意思は全くないことをハッキリと伝えましょう。
そして、それがあなたの我儘などでなく、これまでずっと我慢してきたのだということを伝えましょう。
法的な考え方を十分に勉強する
奥様の意思が固いことが分かり、離婚が避けられないとようやく理解した旦那さんの中には、「自分が納得できないのに離婚するのだから」と財産分与などの条件で譲歩することを求めてくる人も多くいます。
必ず、法的な考え方を十分に勉強していき、旦那さんの主張する不利な条件は飲めないことや、自分の言うとおりにすることで旦那さんにもメリットがあることを法的に説得的に主張できるようにしましょう。
粘り強く交渉する
その上で、正しい法的主張を武器に粘り強く賢く交渉を続けましょう。
「そんなこと法的には成り立たないよ、過去の判例からしても訴訟に行ったら認められないはずだよ。」
「法的には今後こうなるよ、そうなったら、あなたにとって損だよ。いま合意しておこうよ。」



「本当は、相手方は宇宙人なんじゃないか」そう思ってからが勝負と言っても言い過ぎじゃありません。
諦めずに交渉を続けましょう。
熟年離婚をよく知る弁護士に頼む


しかし、法律を十分に勉強し、覚悟を決めて交渉や調停に臨んだとしても、相手方との認識があまりにもかけ離れていることに愕然とし、「意味がわからない」「この人はやはりどうかしている」と感じることがあります。
そのような理解の及ばない分からず屋を相手に交渉した経験がなければ、いくら法律の勉強をしても、いくら覚悟を持っても、終わりが見えない争いに嫌気が差してしまうのは当然でしょう。
一方で、離婚事件の経験豊富な弁護士に依頼すれば、今後の展望、相手への法的な主張、駆け引き全てを考えて、ゴールまでの距離を示してくれるでしょう。
そして、これまで何度も分からず屋とたたかってきた経験を活かし旦那さんがぐうの音も出なくなるまで粘り続けてくれるはずです。
付け加えれば、その間のたたかいも一人でたたかう時のような、ただただ辛いものではありません。
あなたの気持ちを分かってくれる弁護士に依頼すれば、弁護士は心強い相談相手になってくれます。
また、弁護士が調停委員に、いかに旦那さんがおかしいかを説得的に説明するうことで、調停委員にも理解してもらえます。
「同居中、相手から自分が悪いと言われ続けて苦しかったが、小川弁護士と相手との交渉の経緯を聞いて、やっぱり相手がおかしいことがよく分かった」
「小川弁護士が、調停委員に方々に、相手がおかしいことを説明してくれたから、皆分かってくれて、とても気持ちが楽になった」
「自分の苦しかった数十年をようやく肯定してもらえた気がした」
そのような嬉しいお言葉もたくさん頂けております。
離婚事件の経験豊富な弁護士に任せれば、離婚の交渉や調停は、ただ離婚するだけでなく、ご自身が間違っていなかったことを確認して元の自分を取り戻す場になるのです。
まとめ


今日は、特に熟年離婚の際の奥様と旦那さんの認識の違いについて考えてみました。
旦那さんの「離婚する必要はない」、「夫婦関係に離婚するほどの問題はない」という言葉を聞かれて驚く奥様はとても多いです。
また、「これではとても離婚に辿り着けない」と諦めてしまう方や、離婚するため旦那さんの言う法外な条件を飲んでしまう奥様も少なくありません。
しかし、弁護士からすれば、このような旦那さんの反応は「いつもの話」といって良いほどよく見るものです。
ぜひ、焦ったり諦めたりしてしまわず、一度弁護士にご相談ください。
溝の口テラス法律事務所は、いつでもお待ちしています。
- これって弁護士に頼んだほうがいいのかな?
- 相談していいレベルなのかどうかわからない
- どうしたらいいかアドバイスがほしい
このようにお悩みの方も、まずは溝の口テラス法律事務所へお気軽にお問い合わせください。
溝の口以外の、たまプラーザ、武蔵小杉、二子玉川にお住まいの方のご相談実績も豊富です。