養育費はいつまで?18歳で打ち切り?大学卒業や20歳以降も請求できるケースを弁護士が解説

弁護士 おがわ

こんにちは。武蔵小杉、たまプラーザ、二子玉川からほど近い溝の口テラス法律事務所の代表弁護士、小川です。

「子供の養育費は18歳までだろうと夫に言われました…」
「大学を卒業するまで養育費をもらうことはできないのでしょうか?」
「医学部に進学する場合、24歳まで養育費を請求できますか?」
「未成年の子供が進学せず働いている場合、養育費はどうなるの?」

当事務所にも、このような養育費の支払い期間について切実なご相談が寄せられることがあります。

そこで今回は、上記のようなご相談をアレンジした想定質問を題材に

  • 養育費はいつまで支払ってもらえるのか
  • 大学進学時の養育費の取り扱い
  • 医学部など長期間の教育を受ける場合の考え方
  • 子供が経済的に自立した場合の影響

について、詳しく解説していきます。

想定質問
  • モラハラ夫に、子供の養育費は成人する18歳までなどと言われています。大学を卒業する年齢まで養育費を出してもらうことはできないのですか?
  • 長男は医大を目指していますが、医大卒業時の24歳まで払ってもらうことはできますか?
  • 二男は中学卒業後、渡米し、プロボクサーになりました。二男の養育費は成人するまで払ってもらえるのでしょうか。
目次

養育費とは?基本を解説

養育費とは、子の養育のために必要な費用のことです。

弁護士 おがわ

離婚をする場合、親権者として子を引き取る親御さんが、元配偶者である他方の親に対して請求できるのですね。

養育費に含まれるものと養育費の金額の決め方

養育費に含まれるものは、具体的には、子の衣食住等の生活費、子の教育費、子の医療費などです。養育費の金額は、家庭裁判所が定めた「養育費・婚姻費用算定表」を基準に、双方の収入を考慮して決定されることが一般的です。

【ケース別】養育費はいつまで支払われる?よくある質問に弁護士が回答

ケースごとに養育費の条件も変わってきますので、上記の想定質問ごとに詳しく答えてまいります。

Q1. モラハラ夫に「養育費は18歳まで」と言われています。大学卒業まで支払ってもらうことはできないのですか?

養育費の支払い義務は、子が「未成熟子(みせいじゅくし)」でなくなったときに消滅します。

「未成熟子」と言うと未成年者を思い浮かべるかもしれませんが、必ずしも未成年者と一致せず、「未成熟子」とは、自己の資産又は労力で生活ができる能力のない者、つまり、まだ自活できない子をいいます。

そうすると、成年であっても大学に進学した子に自活を求めることはできませんから、養育費の支払ってもらえることも多いのです。

たとえば、養育費の支払い義務者が子の大学進学を認めている場合や両親とも大学を卒業しているなどの事情があれば、子の大学進学が当然と考えられ、養育費の支払い義務があるといえることが多いでしょう。

したがって、質問①のケースでも、モラハラ夫が子の大学進学を認めている場合や両親とも大学を卒業している場合などには、モラハラ夫に養育費を出してもらえる可能性が高いです。

そうでない場合も、ケースバイケースといえる問題ですので、簡単に相手の要求を受けてしまわず、弁護士に相談してみましょう。

子どもが医学部を目指しています。医大卒業の24歳まで請求できますか?

①と同様に、モラハラ夫が、医学部への進学を希望すればその希望に沿いたいとした場合等には、医学部卒業時までの養育費を支払ってもらえます。

そうでない場合も、やはり①と同じくケースバイケースといえますので諦めず、弁護士に相談してみましょう。

中学卒業後にプロボクサーになった子どもの養育費はどうなりますか?

子の収入が、自立を可能とする程度のものであれば、「未成熟子」ではなくなったといえ、養育費の支払い義務が消滅します。

子供さんがプロボクサーとなり、親から自立して生活できる収入を稼いでいるのであれば、養育費は支払ってもらえなくなる可能性があります。

まとめ|養育費で損をしないために弁護士への相談が重要

今回は、養育費に関するご質問についてご回答しました。

子供さんにかかるお金は、小学校から大学までの学費だけでも2000万円を超えると言われていますので、子供さんを監護する親御さんは、養育費を十分な期間確保できれば、離婚後の子供さんの学費に頭を悩まされることも少なくできそうですね。

弁護士 おがわ

しかし、養育費の算定は難しく、小さな見落としで大きな損をしてしまうこともあります。

また、ご夫婦だけで離婚時に養育費を定めたとしても、養育費を受け取れないケースも多くあり、後になって調停や審判の手続きが必要になることがあります。

養育費の請求をするときは、必ず離婚事件に注力している弁護士に相談をして、あなたが一体いくら請求できるのかを確認しましょう。

弁護士 おがわ

溝の口テラス法律事務所は、いつでもあなたからのご相談をお待ちしております。お気軽にご相談ください。

※本記事は、執筆時点の法令、判例、実務の取り扱いに基づいて執筆していますので、これらの改正や変更があった場合、上記と異なる取扱いがされる可能性があります。

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