モラハラ離婚に必要な証拠の種類と具体例【弁護士が丁寧に解説】

モラハラ離婚において、裁判所に離婚の原因がモラハラであると認めさせたり、モラハラの慰謝料を認めさせるには、モラハラの証拠をしっかり集める必要があります。

本記事では、

モラハラ離婚が有利になる証拠の具体例

について、モラハラ離婚に強い弁護士が詳しく解説しますので、適切な証拠を集めて有利に離婚を進めるためのポイントを押さえていきましょう。

モラハラ離婚における証拠の重要性とは？弁護士が解説

モラハラ離婚において、モラハラの証拠は有利に離婚を成立させるため重要です。証拠が揃っていることで、訴訟や調停での立場が有利になり、スムーズな離婚手続きが可能になるのです。

証拠が離婚や慰謝料請求に与える影響

証拠は、訴訟や調停で、ご自身の主張する事実を裏付けるための重要な材料です。

モラハラの証拠があれば、調停では調停委員会にモラハラの実態を理解してもらいやすくなり、訴訟では裁判官にモラハラの事実を認定してもらうことができるのです。

調停での証拠の影響

調停は、訴訟と異なり事の真偽を判断する場ではありません。

訴訟と違い、相手がモラハラは無かったと言い張れば、モラハラがあったという証拠をいくら提出しても、調停委員がモラハラがあったという認定してくれることは制度上ないのです。

しかし、調停はいわば法律を前提にした交渉の場です。

訴訟に移行した場合にモラハラが認められるであろう強い証拠があれば、調停委員もこの強い証拠を説得材料にして、モラハラ配偶者に離婚や慰謝料を支払うよう説得しやすくなります。

また、調停委員は公平な立場ではありますが同時に良識を備えた人間ですので、モラハラの証拠を見れば、次第にモラハラ配偶者から心が離れていくこともあるでしょう。

その結果、調停内で四面楚歌となったモラハラ配偶者は観念して、不合理な主張を撤回したり、こちらの提示する真っ当な条件を飲むことも少なくありません。

訴訟での証拠の影響

訴訟においては、こちらのモラハラの主張をモラハラ配偶者が認めれば、モラハラの証拠がなくても、モラハラがあったと認定される可能性が高くなります。

そうして、モラハラ配偶者がモラハラを認めなかったとき、裁判所は証拠を見て、モラハラがあったかどうかの判断を下すため、モラハラの証拠の有無が裁判の結果に大きく影響するのです。

証拠がなくても諦めない

モラハラの証拠がない場合、モラハラが原因で離婚に至ったというこちらの主張や慰謝料の請求が認められない可能性があります。

そこで、モラハラの証拠はできれば集めておくことが望ましいでしょう。

しかし、モラハラの証拠がなくても離婚できないわけではありません。

溝の口テラス法律事務所のようなモラハラ離婚に注力している法律事務所であれば、モラハラの証拠がなくても、モラハラ配偶者と対等以上にたたかって離婚をする戦術を確立しています。

そこで、モラハラの証拠が集められなくても、決して諦めてしまわず、是非ご相談ください。

弁護士が教えるモラハラ離婚の証拠の種類

ではモラハラの証拠にはどのようなものがあるのでしょうか。

以下に、モラハラ離婚での証拠の具体例を紹介します。

メールやメッセージの記録

モラハラ発言を記録したメールやメッセージは、とても有力な証拠となります。

相手の暴言や脅迫的な発言があれば、それをスクリーンショットやプリントアウトで保存しましょう。

また、やり取りの日時や内容を明確にするために、メールやメッセージを時系列で整理することも有意義です。

これにより、モラハラの継続性や、会話の流れを見てはじめて悪質性が分かるモラハラ発言を明らかにできるのです。

録音や録画のデータ

相手の暴言や脅迫の内容を録音・録画したデータも、重要な証拠となります。

録音や録画のデータは、モラハラの具体的な態様を証明するためにとても有力な証拠です。特に、日時や場所が特定できるように記録しておくことが望ましいです。

一方で、録音や録画を行う際は、違法な方法にならないように注意しなければいけません。

なにより、モラハラ配偶者が録音や録画に気づき、更なるモラハラや場合によっては暴力を加えてくる危険があります。

そこで、弁護士に相談し、適法で安全な方法で録音や録画を実施しましょう。

日記やメモ

日々のモラハラを記録した日記やメモも、証拠として有効です。モラハラの内容や状況、日時などを詳細に記録できれば、継続的なモラハラがあったことの証拠になります。

日記やメモには、具体的な言動や出来事を、なるべく客観的に記載することが重要です。

例えば、

「２０２４年７月２０日、夫から『お前は働きもせず、ゴロゴロできて良いなあ』と言われ『家事をしているじゃないですか』と言うと『家事なんて、好きな時に、てきとうにやっても分からないもんで、外で必死に働いている俺と同じ立場に立たれてもなあ』と言われた。自分の役割を否定されているようで辛かった」

といった具合に具体的な内容を客観的に記録し、自分の感想を書く場合は客観的な事実と区別して書くといいでしょう。

また裁判官に「裁判のために後からつくった日記かもしれない」と思われてしまわないよう、モラハラがなかった日も、日記をつけるようにしましょう。その日あった出来事と客観的な事実が一致すれば、日記に記載されていることの信ぴょう性が高まるでしょう。

診断書や医療記録

モラハラによる精神的なダメージを医療の専門家に診断してもらえたら、その診断書等も重要な証拠となります。医師の診断書やカウンセリングの記録によって、モラハラの病気になるほどの悪影響を証明できるのです。

なお証拠以前に、体調の不良を感じたら必ず医療機関にかかりましょう。日本人は諸外国に比べてこころの健康を軽視する（根性で何とかしなくてはいけないと思い込む）傾向があると言われます。 早期治療がかなわず、症状を悪化させてしまえば自立の道は遠のきます。

第三者の証言

モラハラの現場を目撃した第三者の証言も、重要な証拠となります。

友人や家族、近隣の住人の方など、もしモラハラの状況を直接知っている人がいれば、記録をしておきましょう。

第三者の証言は、客観的な立場からモラハラの実態を示すために有効で、特に、複数の証言の内容が一致する場合、その信ぴょう性が高まります。

モラハラ離婚の証拠収集方法：弁護士のアドバイス

モラハラの証拠の収集・保管は、適法・安全な方法でしなければいけません。

弁護士の観点から、押さえるべきポイントをお伝えいたします。

安全に証拠を収集・保管する方法

証拠を収集する際には、自分や子供たちの安全を最優先に考えることが重要です。

例えば、メールやメッセージの記録は、相手に見られないようにスマホにロックをかけたり、ロックをかけた別媒体に保存するなど厳重に管理をしましょう。日記なども相手が見ないところに保管する必要があります。

紙媒体での保管が難しければ紙に書いた日記の写真を撮って保管し、紙は破棄するなどの方法でもやむを得ません。

適法な証拠の収集方法

また、違法な手段で収集された資料は、裁判で証拠として認められない可能性があります。

昭和５２年に東京高裁が示した判断基準によれば、「反社会的な手段を用いて人格権を侵害するような方法によって収集された証拠は、証拠能力が否定される（＝証拠として扱えない。）」とされているのです。

弁護士に相談しながら、法律に適う方法で証拠を収集することが重要です。

弁護士のサポートを受ける重要性

上記はあくまで一般論ですので、事例に応じて、適法な証拠の取得方法や適切な管理の方法は変わってきます。

ご自身の状況に応じた適法・適切な取得・管理ができるよう、まずは弁護士に相談をしましょう。

また、非常に狡猾だったり支配的なモラハラ加害者も多く、安全に証拠を取得・管理できないという被害者の方も多いです。

溝の口テラス法律事務所では、証拠を収集できない場合でも、法律の制度をうまく使って対等以上にモラハラ加害者とたたかっていく戦術を確立しています。
危険を感じたら無理をして証拠を収集しようとせず、ぜひ一度ご相談ください。

弁護士に相談する際のポイント

最後に、よくお受けする『弁護士への相談前にどんなことを準備してくれば良いの？』というご質問についてご回答いたします。

相談前に準備すべきこと

もしできるなら、事前にごく簡単な時系列等を作り、またモラハラの具体例などを思い出して相談に行かれると、弁護士に話が伝わりやすく、またご自身の思考の整理にもつながります。

その際は、いつ、どのようなモラハラがあったのか、ご自身はどのような言葉や態度に傷ついたのか、その後どうなったかを整理してみると、より良いでしょう。

ただ、そのような作業をしていて苦しくなってしまったり、気持ちが落ち込んでしまったりするようであれば無理をする必要はありません。

モラハラ離婚に詳しい弁護士であれば、たとえ整理されていなくても一見支離滅裂に見えても、モラハラ被害者の方が苦しみ勇気を出されてご相談に来てくれたことが分かるはずです。

溝の口テラス法律事務所にご相談いただく場合も、事前準備は必要ございません。

当事務所は開業当初からモラハラ離婚に注力し、多数解決してきた実績がありますので、ご相談いただき、お話を聞かせていただければ、どのようなモラハラに苦しんでいらっしゃるかを把握できる自信があります。

相談時に証拠があったら

もし弁護士に相談する際に、モラハラの証拠をもっていたら、それを持っていき、それが、いつ、どこで、どうやって取得したどんな証拠なのかを説明できるようにすると良いでしょう。

また持ち運びの際の紛失を防止したり、弁護士に預けて検討してもらうことになった時のため、複製できるものは複製を持って行くとより良いかもしれません。

弁護士に依頼するタイミング

もちろん早めに相談することで、証拠の収集方法や法的手続きについて適切なアドバイスを受けることができますので、できる限り早めの相談が望ましいです。

モラハラ離婚において、弁護士に依頼するタイミングは重要で、「自分も悪い」等という誤解を持ち続けた方が、モラハラ配偶者から法外な条件での離婚を迫られサインしてしまった事件も目にして来ました。

特に、モラハラが継続している場合や、モラハラ配偶者の圧力が強い場合は、早急に弁護士に相談し、適切な対策を講じることが必要なのです。

まとめ：モラハラ離婚の証拠と弁護士のサポート

モラハラ離婚において、モラハラの証拠は、有利な条件での離婚や慰謝料の請求をスムーズなものにする点でとても有意です。

一方で、違法な証拠収集になってしまわないよう、必ず弁護士の助言を受けましょう。

また証拠に頼らずとも有利にたたかえる方法を確立している弁護士もいるのですから、その方法を聞きましょう。