こんにちは。武蔵小杉、たまプラーザ、二子玉川からほど近い溝の口テラス法律事務所の代表弁護士、小川です。
以前「実は難しい離婚調停」という記事のなかで、離婚調停は難易度が高い裁判手続きであることをお伝えさせていただきました。
今日は、特にモラハラ離婚の離婚調停は、更に難易度が上がるということをお伝えしたいと思います。
元々難しい離婚調停
ブログ記事「実は難しい離婚調停」のなかで、
ことをお伝えしました。
それはもちろんモラハラ離婚の離婚調停でも変わりません。
そして後述のとおり、モラハラ離婚ではさらに難易度が上がるのです。
モラハラ離婚の調停の難易度が非常に高い理由
モラハラ離婚の離婚調停の難易度が非常に高い理由を一言で言えば、
モラハラ夫の悪性格と調停というシステムの相性の悪さにあります。
すなわち、お互いの譲歩と納得がなければ成立しない調停において、モラハラ被害者の方はモラハラ夫に自身の権利を強く主張できず、公平であるべき調停委員も被害者の方の味方をできません。
その一方で、モラハラ夫は譲歩も納得もせず不合理な主張を続け、調停の流れがモラハラ夫のペースに乗せられてしまいかねないのです。
その結果、誰もが疲れ果て、どうしようもないモラハラ夫と早期に離婚することを最優先にしてしまい不合理な条件を飲んでしまうなど、モラハラ夫の我儘に振り回されかねないのです。
以下ではこれを詳細に見ていきましょう。
モラハラ被害者の方がモラハラ夫に強く主張することは難しい
まずモラハラ夫に意思を制圧され、その機嫌を伺うように生活していたモラハラ被害者の方にとって、自分自身の権利をモラハラ夫に対し強く主張していくことは決して簡単なことではありません。
そこで、モラハラ被害者の方が弁護士をつけずに調停に臨むと、明らかにモラハラ夫の我儘な主張であってもこれを反駁する(論じ返す)ことを諦めてしまうことが多いのです。
これは、当事者の主張の対立が前提になる調停では深刻な問題で、多くの争点で負けてしまいかねません。
調停委員は公平な立場であるためどちらかの味方にはなってくれませんので、特にモラハラ被害者の方には、自分の側に立って冷静に自分の権利を主張してくれる人が必要になるのです。
調停を混乱させるモラハラ夫
モラハラ夫のなかには、妻に捨てられたことを反省するどころか恨みに思い、妻を困らせることを目的にしているかのように不合理な主張を繰り返す者もいます。
実際に、調停委員の前で「どうすれば妻を困らせられるか…」等と口走ったモラハラ夫もいるなど、調停を荒らして妻に攻撃をすることを目的にしているかのように振る舞うモラハラ夫は多いのです。
このような不当な目的の攻撃には毅然たる対応をする必要がありますが、当然はじめて経験する調停で、しかもこれまで散々攻撃を受けて疲弊し切っているモラハラ被害者の方が臨機応変に適切な対応をしてモラハラ夫を撃退できることは多くないのです。
モラハラ夫は調停委員の説得にも聞く耳持たず
モラハラ夫のなかには、自分を取り巻く人たちがどのような力を持っており、誰に逆らうと自分に不利になるのかを判断し、自分より優位に立つ者には媚びへつらい、劣位にある者を選んで攻撃を仕掛ける者も多くいます。
離婚調停は、男女の調停委員が夫婦と交互に話をして、条件を調整し合意を目指す手続きです。
そこで夫婦の合意がなければ調停は成立せず、また合意はお互いの譲歩と納得がなければできませんから、夫婦が最低限の譲歩と納得ができるよう、調停委員が言葉を尽くして説明をし、場合によっては説得が行われます。
そして、このような重要な役割を担えるよう、調停委員は、社会で活躍してきた十分な人生経験のある比較的年齢層の高い方が選任されることが多く、人から信頼される温和な印象を受ける調停委員がとても多いのです。
多くの当事者は、このような調停委員の発言や提案に耳を傾けなんとか合意をしようと努力します。
しかしモラハラ夫のなかには、比較的年齢層が高く温和な印象を受ける調停委員を、高齢で弱腰と錯覚し、その説得にも耳を貸さず、特に女性の調停委員に高圧的な態度を取る者がいるのです。
そのようなモラハラ夫に対して、調停委員が説得をすることは簡単でなく、適正な条件で調停を成立させることは難しくなるでしょう。
誰もがモラハラ夫に呆れ、諦めてしまう
このような態度をとるモラハラ夫に対して、裁判所が、たとえば、妻の主張する条件で離婚させるなどの強いペナルティを与えることはもちろん調停の制度上できません。
また調停委員は、公平に振舞わなければいけませんので、モラハラ夫の態度にうんざりしても、あなたの味方になり、あなたが有利になるように取り計らったりすることは出来ないのです。
さらに調停委員にとっては調停成立が仕事の完了に他なりませんので、時には当事者を説得し何とか合意に導こうとしますが、モラハラ夫を説得することは非常に困難です。
そこで、モラハラ夫の説得を諦めて、被害者の方に譲歩するよう説得する調停委員もいるかもしれません。
結局モラハラ夫の大暴れに呆れ、疲れ果て、やはりこれ以上何を言っても無駄と諦めてしまい、不合理な条件での離婚に応じてしまうことが往々にしてあるのです。
しかし、これでは、モラハラ夫の言うがままに窮屈な生活を強いられ、言うがままに離婚をさせられることになってしまいます。
モラハラ夫と一人でたたかう場合の注意点
もちろん、モラハラ夫の言いなりなどなってはいけません。それではモラハラ夫と一人でたたかっていくためにはどうすればいいのでしょうか。
モラハラ環境から離脱し元の自分に戻る
一人でたたかっていくためには、まず当然モラハラを受ける環境から離脱していることが必須の条件でしょう。
モラハラを今も受け続けている方がモラハラ加害者に自身の権利を主張することは非常に難しいからです。
またモラハラの悪影響はモラハラ環境から離脱しても長期間継続します。
モラハラ環境から離脱後ゆっくり休み元の自分に戻っていないと事を構えた時にやはり強気に出られないことは多いのです。
徹底的に離婚の法律の勉強をする
さらに、徹底的に離婚の法律の勉強をして挑まなくてはいけません。
モラハラ夫のなかには、自分を捨てた被害者の方を逆恨みし、法律事務所のインターネット記事を読み漁って自分に都合のいい見解を切り取っては執拗に身勝手な主張をしてくる者もいます。
モラハラ夫にペースを握らせないよう臨機応変に対応する
加えて、モラハラ夫の我儘な主張や奇行に動揺せず、臨機応変に対応して、モラハラ夫にペースを握らせないことも大事になります。
モラハラ夫のなかには、自身の我儘な言動に周囲が呆れ諦めることを、自分が正しかったから従ったのだ等と誤解して味を占めている者もおり、調子に乗らせないよう、モラハラ夫の言動に一切動揺せず、常にこちらのペースでたたかっていかなくてはいけません。
信頼できる相談相手をつくる
そして、信頼できる相談相手がいることもとても重要です。
調停は長期間に及ぶこともありますので、その間、離婚について共有し相談できる人がいなければ、ストレスや不安が蓄積し、正しい判断ができなくなってしまいかねないのです。
モラハラ夫と弁護士と一緒にたたかう選択肢
モラハラ夫との調停にお一人で臨むのが難しいと感じられたなら弁護士に相談し依頼をしましょう。
調停を全て任せられる
まず裁判のプロである弁護士に、調停での戦術立案や武器になる書面・証拠の作成と主張立証を全て任せれば、圧倒的に有利な立場に立てます。
離婚調停を乗り切るには、膨大な法律の知識と実務運用を熟知している必要があり、またこれらを理解して応用できるかで戦況はいくらでも変わり得るのですから、弁護士の存在が極めて有意であることは論を待ちません。
モラハラ夫は強い者に弱い
また、モラハラ夫は、女性やご高齢の方など自分より弱いと曲解している方には強く出ますが、権威には弱く、弁護士にはモラハラ被害者の方に取っているような態度は取れないことがほとんどです。
さらに、モラハラ離婚に注力している弁護士であれば、モラハラ夫の習性をよく知っていますから、モラハラ夫のペースにはまらず、モラハラ夫の滅茶苦茶な法的主張や奇行を時に糾弾し、時に冷ややかに無視するなどして、モラハラ夫が離婚調停で孤立するように振る舞うことができます。
自分の我儘が通らない、いつもは取れるはずの主導権がとれないとようやく分かったモラハラ夫が、そそくさと逃げていくことも珍しくありません。
唯一無二の相談相手になれる
加えてもちろん、あなたの相談相手にもなれますので、先が見えなくて苦しい時も相談に乗れます。
そしてその相談は何十、何百件もの離婚事件を解決してきた弁護士への相談ですので、相談の中で苦しんでいたのは自分だけではないと実感できるのです。
まとめ
溝の口テラス法律事務所は、開業当初より離婚事件に注力し、特に長期的な被害が深刻であるのに身体的な暴力に比べ行政や民間のサポートがまだまだ十分でないモラハラ被害の救済に注力してきました。
現在では取り扱っている離婚事件の実に半分近くがモラハラを原因とする離婚ですので、モラハラ離婚の重厚な実績と実践の中で得た対応策があります。
モラハラ夫との離婚に困ったらぜひいつでもご相談ください。
- これって弁護士に頼んだほうがいいのかな?
- 相談していいレベルなのかどうかわからない
- どうしたらいいかアドバイスがほしい
このようにお悩みの方も、まずは溝の口テラス法律事務所へお気軽にお問い合わせください。
溝の口以外の、たまプラーザ、武蔵小杉、二子玉川にお住まいの方のご相談実績も豊富です。
※ 本記事は執筆時点の法律・実務運用等に基づいて作成しています。