弁護士 おがわこんにちは。武蔵小杉、たまプラーザ、二子玉川からほど近い溝の口テラス法律事務所の代表弁護士、小川です。
「調停のような話し合いなら、自分でもできると思うんです。でも、訴訟で激論を交わすのは無理だから、そうなったらお願いしたいです」
ご相談の場で、ときどきこう言われることがあります。
そのお気持ちは、とてもよく分かります。弁護士同士が法廷で激しく言い争い、最後の証人尋問で隠されていた事実が明らかになって逆転する——。
弁護士になる前の私も、訴訟とはそういうものだと思っていました。
ですが、実際に何度も裁判に出るようになって、私は逆のことを考えるようになりました。
訴訟は、拍子抜けするほど地味です。ひとつの期日(裁判が開催される日)が、たった3分で終わってしまうこともあります。 一方で調停は、ご本人が主役になり、法律だけでは割り切れない思いを語ることができ、これによって結果が動くこともある場所です。
これから離婚調停に臨まれる方の中には、「当日はどんな雰囲気なんだろう」「何を話せばいいんだろう」と、落ち着かない夜を過ごしておられる方もいらっしゃると思います。
この記事では、実際の訴訟の一幕をそのまま再現しながら、調停がどのような場所なのかをお話しします。
「異議あり!」はあまりない|ドラマが描く離婚訴訟のイメージ


調停の話をする前に、まず離婚訴訟のほうから見ていきます。



多くのご相談者様が持っている「裁判のイメージ」は、ほぼドラマからできているというのが私の実感です。
そのイメージと実際がどれだけ違うのかを知っていただくと、あとでお話しする調停の姿が、かえってはっきり見えてくると思います。
「弁護士が激論を交わし、証人尋問で逆転する」というイメージ
弁護士や裁判は、ドラマでよく扱われますよね。
弁護士同士が激論を交わし、ときに「異議あり!」と相手の攻撃を止め、最後は証人尋問でこれまで隠されていた重大な事実が判明し、逆転する。
そして、ある時は悪が罰され、ある時はお互いの誤解が解けて争いが解決し、あるいは、たたかいを乗り越えた以前とは変わったご依頼者様が未来に向かっていく…。



弁護士になる前の私の訴訟のイメージは正にこれでした。
実際の離婚訴訟はどんな感じ?ある期日を再現します


では、実際の離婚訴訟はどのような感じなのでしょうか。
離婚訴訟を含む民事訴訟の一幕を少し見ていきたいと思います。
私「3時から猫山さんの期日(訴訟が開催される日時)か。よし、オンラインビデオ電話を起動しよう。」
ポンポンポンポン(オンラインビデオ電話の呼び出し音)
私「よし、時間通りに呼び出しが来たぞ」
裁判官「原告、被告繋がりましたね。では、はじめます。まず提出物の確認です。期日間で、被告から準備書面2と乙5号証が提出されていますね。」
私、相手の弁護士「はい。」
裁判官「では被告は準備書面2は陳述と。原告は反論でしょうかね。次回期日ですが、4/15の14時はどうでしょう」
私、相手の弁護士「お受けできます」
裁判官「では、それで決めますので、原告は一週間前の4月8日までに書面の提出をお願いします。それでは、期日を終わります」
私、相手の弁護士「ありがとうございました。」
以上(ここまで3分)



ドラマでの熱いたたかいを期待していると、「え?これで終わり?」という感じのやり取りですが、これが普通の民事訴訟の一幕です。
もちろん、上記は一番早く終わった時の例ですが、離婚訴訟を含む民事訴訟では一度は目にする期日です。
なぜ離婚訴訟では激論が交わされないのか


「激論は交わさないの?」
と思われる方もいらっしゃるでしょう。
そこで、主張反論は書面でされ、熱く激論を交わすシーンはほぼありません。
もちろん「尋問」というドラマでもよく見る訴訟の当事者や証人に双方の弁護士や裁判官が質問をする手続きはあるのですが、弁護士が介入した訴訟で尋問をすることはとても少ないように思います。
さらに、これまで書面や資料で丁寧に主張立証してきた訴訟の結果が、証人への質問で突如として逆転したということは滅多にないというのが、弁護士の感想です。
訴訟は、ドラマとは程遠く、意外に地味です。
当然、弁護士に任せている人が多いのですから、参加するのも弁護士と裁判官のみであることが多く、熱くなったりすることもあまりありません。
その意味で、ご本人からすれば無味乾燥に感じてしまうかもしれません。
よくトラブルの当事者が「訴えてやる!」と威勢よく指さし、相手方が狼狽する姿が描かれることがありますが、このテンションのまま訴訟が進んでいくことはありません。
むしろこのような争いを解決するために訴訟があり、弁護士がいるのですから、訴訟は無味乾燥でいいのかもしれません。


離婚調停はどんな感じ?ドラマに近いのは訴訟ではなく調停です
むしろドラマに近いのは調停のほうかもしれません。
主役が誰か、結果が動くのか、そして何を話す場なのか。順にお話しします。
離婚調停の主役はご本人|調停委員に直接、思いを話せます


調停では、調停委員という一般の有識者から選ばれた方たちが仲裁的な役割を担います。
そして、訴訟と違いご当事者が出席することも普通なので、調停委員からご当事者がたくさんご質問を受け、ご当事者が主役になって話が進められます。
離婚調停は逆転もありうる|訴訟なら負ける争点で有利に終わることも
上述のとおり、訴訟では逆転することは少ないというのが私の感想です。
法律の専門家である弁護士と裁判官が主体になって進んでいくわけですから、出すべき証拠を適時に出していれば、形勢は見えます。弁護士に訴訟を任せ、出席はされないご当事者のお気持ちが変わることも多くはないでしょう。
一方で、調停ですと、法律を前提にしつつも実情や当事者の感情にも十分配慮して審理が進められます。



また、裁判官でも判断が分かれるような難しい法律問題を正面から扱うことは避ける傾向があります。
そうすると、結果として、訴訟までいけば負けてしまうという争点でも、いろいろな事情を考え、引き分けで、あるいはこちら有利に解決するということもありうるわけです。
実際、離婚調停で、私が、膨大な調査をした結果、訴訟に行ったら最後のところでは負けるのではないかという印象を持った非常にマイナーな不動産の争点について、しかし、私が調査から得た知識に相手がおののいて退いてしまい、こちら優位に合意ができたこともありました。
調停は訴訟と同じくたたかいの場と捉えるべきですが、訴訟以上に駆け引きや心理戦が功を奏する場所でもあるのです。


離婚調停はたたかいだけの場ではない|面会交流や関係修復の話し合いも


上述のように、調停は訴訟と同じ裁判手続きですので、たたかいの場と捉えるべきと私は考えますが、特に離婚調停では、より良い夫婦、家族の在り方を巡って考えていく側面があります。
たとえば、お互いの弁護士が離婚事件に長けていれば、親子交流(面会交流)の場を積極的に設けることもできるでしょう。実際に、離婚後も子の要望に応え父母と子で遊園地に行けたような事例もあるのです。
調停では毎期日、ご当事者の出席の機会があり、ご本人の意思や辛かった経験を調停委員会に伝え、合意のための審理に主体的に参加していけます。
ご自身の過去と考えを整理し、これを聞いた調停委員の反応を見て自身が間違ってなかったことを知り、あるいは、たたかいを乗り越えて、ご自身が変わっていく場でもやはりあるのです。


離婚調停に弁護士は必要?「あなたのドラマ」をつくるために


調停は、ご本人が主体的に参加し、法律以外の話も積極的に話すことができ、結果が変わりうる点で、みなさんのイメージにあるドラマの裁判に近いと思います。
ただ、だからこそ、臨み方で差が出ます。ここからは、実際に離婚調停に向かわれる方に、私がいつもお伝えしていることをお話しします。
言いたいことを言うだけでは、調停委員会には伝わりません
一方で、やはり調停もルールがある裁判手続きですから、ただ言いたいことを言っているのでは調停委員会に伝わらないどころかかえって逆効果になりかねません。
「訴訟になったら弁護士に依頼したい」では遅いかもしれません
冒頭でお話しした、「調停なら自分でできるけれど、訴訟になったら依頼したい」というお考え。お気持ちはよく分かるのですが、私は順番が逆かもしれないとすら思っています。
つまり、訴訟に至る前の調停で、どこまでご自身の言い分を残せていたか、どのような資料を出せていたかが、そのまま後の結果に影響してくるのです。
激論を交わす場所だから弁護士が必要、というよりも、結果が動きうる場所だからこそ、弁護士がいると違ってくるというのが私の実感です。



すでにご自身で調停を申し立てられて、途中から弁護士に入ってもらう、というご依頼も珍しくありません。
第一回の期日を終えてから、というご相談もよくいただきます。
まとめ|大切な離婚調停を有利に進めるには
離婚調停は、訴訟と違ってご本人が主役になる場です。法律だけでは割り切れない思いを話すことができ、そのぶん結果が動くこともあります。
一方で、調停もルールのある裁判手続きです。何をどう伝えるかで、結果は変わってきます。
ご自身の思いを100%調停委員会に伝えられるよう、離婚事件に詳しい弁護士の力を借りることも考えましょう。
それはあなたにとって新しいドラマになるはずです。
溝の口テラス法律事務所はいつでもあなたのご相談をお待ちしています。




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