別居時の持ち物と財産分与|冷蔵庫やテレビは持って行っていい?弁護士が解説

弁護士 おがわ

こんにちは。武蔵小杉、たまプラーザ、二子玉川からほど近い溝の口テラス法律事務所の代表弁護士、小川です。

「いざ別居しようと思うけど、何を持っていけばいいの?」
「新生活にお金がかかるから、今の家の冷蔵庫や洗濯機を持っていきたい。勝手に持ち出しても問題ない?」

当事務所にも、別居の際の荷物の持ち出しについて切実なご相談が寄せられることがあります。

別居後の新生活は不安がいっぱいですから、少しでも今の生活資源を持って行きたいと思うのは当然のことです。

そこで今回は、別居時の持ち出しに関する「法的なルール」と「実際の離婚交渉におけるリスク」について、詳しく解説していきます。

ご質問

私と夫は離婚を考えており、まずは私が家を出て別居することになりました。

別居するときに、最低限持っていくべきものは何でしょうか。

新居での生活のために、今使っている冷蔵庫や洗濯機、テレビなどを持って行っていいですか?夫に相談すると反対されそうなので、勝手に持っていこうかと悩んでいます。

目次

別居時に優先して持っていくべきものとは

別居に向けて、キャッシュカードなどの貴重品をポーチにまとめる女性の手元と三毛猫

いざ別居を始めると、元の家に戻って自分の荷物を取り出すことが精神的にも物理的にも難しくなるケースが多くあります。そのため、まずはご自身(とお子様)の身の回り品を優先しましょう。

身分証や通帳などの貴重品を最優先に

具体的には、下記のようなものが挙げられます。

  • 身分証明書
  • マイナンバーカード(マイナ保険証)、資格確認書
  • 自分名義の通帳、印鑑、キャッシュカード
  • 年金手帳または基礎年金番号通知書

などの貴重品です。

別居時の生活について解説した記事はこちらです

相手の収入や財産がわかる資料は、取得方法に注意

また、今後の財産分与や婚姻費用(生活費)の算定に備えて、相手の収入や財産がわかる資料(給与明細、源泉徴収票、相手名義の通帳のコピーなど)があると、財産を隠されてしまった際にとても有用です。

一方で、これらの収入・財産資料が、ペーパーレスで管理されている場合、そのデータを入手する方法によっては違法になってしまうなど危険があります。

そこで、離婚事件に詳しい弁護士に相談して適法な方法で取得しましょう。

婚姻費用について解説した記事はこちらです

別居時に冷蔵庫や洗濯機などの家電は持って行っていい?

別居を前に、夜のリビングで冷蔵庫やテレビを持って行くか考える女性

夫婦が協力して築いた財産で購入した家電は、原則として夫婦の「共有財産」となります。では、これを相手に無断で持ち出すとどうなるのでしょうか。

特有財産について解説した記事はこちらです

共有財産の持ち出しは、直ちに不法行為になるわけではない

弁護士 おがわ

実は、別居時に夫婦の共有財産を持ち出した行為について、「直ちに不法行為(損害賠償の対象)にはならない」とした裁判例があります。

裁判所の基本的な考え方として、別居後の当面の生活のためであり、将来の「財産分与」の取り分を大きく超えておらず、「相手を困惑させるような嫌がらせ目的」などがなければ、法的なペナルティは受けにくいとしているように思えます。

そうすると、「なんだ、嫌がらせ目的じゃなければ家電を勝手に持ち出しても問題ないんだ」と思われるかもしれません。

通帳の持ち出しについて解説した記事はこちらです

最大のリスク:相手が激怒して交渉が泥沼化すること

しかし、法的な理屈以前に一番気をつけなければならないのが、「相手方が激怒して、その後の話し合いの余地がなくなってしまう(予後が悪くなる)」という点です。

弁護士 おがわ

家に帰ったら突然テレビや冷蔵庫がなくなっていたら、誰でも驚きますし、離婚協議中の配偶者に持ち出されたと知ったら怒りを感じますよね。

「あんな非常識な相手とは絶対にまともな話し合いなどしない!」と相手の態度が硬化してしまえば、本来ならすんなり進むはずだった離婚協議もストップしてしまうかもしれません。

意味もなく相手方を怒らせて、結果的に調停や裁判へと発展し、解決までに何年もかかったり、余計な弁護士費用がかかったりして、トータルで大きな損をしてしまうケースを私たちは何度も見てきました。

まとめ|自己判断せず、まずは弁護士にご相談を

別居時の持ち出しで迷ったら一人で判断せず、新しい生活に向けて窓を開ける女性と猫

別居時の持ち出しは、「法的にどこまで許されるか」という知識と、「相手の性格や状況を見て、どう動くのが一番有利か」という戦略の両方が必要です。

ご自身だけで「これくらいなら大丈夫だろう」と判断してしまう前に、まずは一度、専門家である弁護士にご相談ください。

※本記事は、執筆時点の法令、判例、実務の取り扱いに基づいて執筆していますので、これらの改正や変更があった場合、上記と異なる取扱いがされる可能性がありますことにご留意ください。

青空を飛ぶ小鳥を見つめる猫。別居後の新しい生活への一歩のイメージ
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